自分の意見が言えないのは、必ずしも親のせいというわけではありません。しかし、親の接し方が大きく影響しているのも事実です。
ネット上の声を見ていても、「親に自分の意見を否定されるから言えなかった」「自分の意見が言えないのはって親のせい?」と感じている人は少なくありません。
親の立場としても、我が子が自分の意見を言えないのは親のせいではないか?と思うとつらいですよね。
この記事では、自分の意見が言えなくなる理由をお伝えします。
理由を知って、我が子への接し方を一緒に考えていきましょう。また、意見が言えない自分を克服する方法もご紹介していきます。
自分の意見が言えないのは親のせいだけ?性格や発達のスピードも
自分の意見が言えないのはなぜかという理由を知ることが、克服への第一歩です。
理由5つをご紹介します。当てはまりそうなものがあるでしょうか?
自分の意見が聞いてもらえない・否定される環境
自分の意見が聞いてもらえなかったり、否定されたりする環境におかれることが多いと、自分の意見に自信がもてなくなってしまいます。
自分の意見は間違っているんだ。
言ってもムダなんだ。
とくに幼少期の周りの大人の接し方は、大きく影響すると言われています。
「自分の意見を言ったら殴られた」「自分の意見は全部無視された」という人もいます。これは虐待にあたります。
ここまで来ると、自分の力で立ち直るのは大変です。どうか頼れる人やカウンセラーなど専門家の力を借りてほしいです。
相手や周りの反応に敏感な性格
自分の意見が言えないのは、すべてが親のせいというわけではありません。
繊細で周りの反応に敏感な人は、頭の中でいろいろなことを考えた結果、自分の意見が言えなくなってしまうことがあります。
この意見を言ったらあの人は傷つくかもしれない。
自分の意見よりあの人の意見の方がいいな。
このタイプの人は、思慮深く、周りから見るとやさしく穏やかな、長所ともいえる性格をしています。
しかし、周りを優先して自分の意見を押し込める癖がついてしまい、必要な場面でも意見が言えなくなっていませんか?
また、学校の先生などに「自分の意見がない」と評価されたり、ふと「自分の存在ってなんだろう」と感じたりといった悩みをもつ人が多いようです。
自分の意見を言う前に解決していることが多い
周りの人のタイプに影響を受けて、自分の意見を言う経験が不足するパターンです。
家族や友達、職場の人間関係の中で、「自分の意見を言わなくても物事が決まっている」ことが多いと、自分の意見を言う必要性を感じなくなります。
こう思ったけどもう決まってたからいいや。
また誰かが考えるだろう。
とくに、自己主張が強い人がいる環境だと、自分は遠慮しておこうと一歩引いてしまうことはありませんか?
幼少期にそのようなことが多いと、自分で考えて意見を言うという習慣がないまま成長していくため、必要な場面でも自分の意見が言えなくなってしまいます。
大人でも、長年意見を求められない環境にいたのに、急に意見を求められるようになると戸惑ってしまいますよね。
自分の意見がわからない
そもそも自分の意見がわからないというパターンもあります。
わからない。
なんでもいい。
その出来事に興味がなかったり、人ごとだと思っていたりすると、意見を求められても考えが浮かびません。
興味のないことに想像力を働かせて、疑問をもったり、どう思うかを考えたりするのは難しいことです。
乳幼児だとなおさらで、「なんでもいい」と言ったのに、いざその時がくると「イヤだ」となる場合は、聞かれたことが自分のこととして結びついていなかった可能性があります。
自分の意見をうまく言葉にできない
自分の意見はあるけれど、頭の中に浮かぶ思いをうまく言語化できないパターンです。
モヤモヤするけど言葉にできない。
言葉の発達がゆっくりな子どもに多く、怒っているときに「なにが嫌なの?」と聞かれても答えられないことがあります。
とても嫌な思いをしているけれど、それを伝える語彙がない、とっさに言葉が出てこないといったときに、泣く・固まる・攻撃する・暴れるといった姿がよく見られます。
不快を泣いて表現する赤ちゃんがまさにそうですが、複雑な感情が入り交じってモヤモヤするけれどうまく言えない…という経験は、大人でもあるのではないでしょうか。
自分の意見が言えない我が子への接し方
聞いた意見を尊重する
「晩ごはん何がいい?」「どこに行きたい?」と意見を求められ、答えても否定される経験が多いと、自分の意見は意味がないと感じてしまいます。
たとえば、ハンバーグは無理だ…と思っても、「ハンバーグが食べたかったんだね。今日は時間がないから休みの日に作るね」など、採用するよ!という姿勢でいることが大切です。
「オムライスか焼きそばなら作れるけどどっちがいい?」と必ず叶えられる聞き方をするのもよいですね。
すぐに否定しない
子どもの発言が間違えていると思っても、「なるほどね」「そう思ったんだね」と、ひとつの意見として受け止めてから、必要に応じて正しいことを伝えてあげましょう。
これは、子どもなりに真剣に答えているときにしたい対応です。ふざけて「う◯こ!」などと答えているときは、淡々と「それは違うね」と伝えればよいですよ。
選べた、言えたら花丸
どんな意見であれ、自分の思いを言葉で言えたら、「お口で言えてえらかったね!」「あなたの気持ちがよくわかったよ!」とたくさん褒めてあげましょう。
赤ちゃんのときは泣くことで伝えていた気持ちを自分の言葉にできるなんて、素晴らしいことです。
それがわがままやよくないことだとしても、「〇〇って思ったんだね」と思いを繰り返すことで、聞いてもらえた安心感が得られますよ。
その上で必要に応じて「でもね、いまはできないんだよ」ということも、しっかり伝えていきましょう。
代弁・2択から
まだ自分の気持ちをうまく言えないときには、「〇〇だったのかな?」とYESかNOで答えられる聞き方をしてみましょう。
うなずくだけでも、「わかったよ!」「お返事してくれてありがとう!」と前向きな言葉をかけていると、自分の思いを伝えることに抵抗がなくなっていきます。
さらに服を着るときなどに「これかこれ、どっちがいい?」と、少ない選択肢から自分で選ぶ経験を積み重ねていきましょう。
選べたら「色がかわいいよね!」「私もこっちがいいと思ってたの!」と、選んだことがうれしくなるような言葉をかけてあげたいですね。
言葉に詰まりながらも、何かを言おうとがんばっているときには、すぐに代弁せずに、うなずきながら待ってあげることも大切です。
親の意見を伝える
子どもが自分の意見を言う前に親の意見を言うのではなく、日常のさまざまな場面で「私(ママ)はこう思うな。」とお手本になることです。
なんでも子どものしたいことを尊重して、「お母さんはなんでもいいよ」と伝えているとどうでしょうか。
自分以外の人の意見はないと思ってしまうかもしれませんね。
身近にいる人は、子どもにとって鏡のような存在です。あなた自身が意見を言うことで、お手本を見せてあげることができます。
こんな風に自分の気持ちを言ってほしいなと思う言い方で、あなたの思いを伝えていきましょう。
アサーションとは、相手も自分も大切にすることを重視したコミュニケーションスキルのことです。
アメリカで提唱された心理学に基づいた考え方なのですが、お互いに自分の意見を言うという点で、わかりやすく参考になる一冊です。
自分の意見が言えないことを自分で克服する方法
自分の意見を考える練習
自分の意見がわからない人は、まず身近な物事に対してどう思うのかを考える練習をしてみましょう。
私は、変な方法かもしれませんが、スマホでネットニュースを見て練習していたことがありますよ。
気になるトピックを読み、まず自分がどう思ったかを頭の中で考えてから、コメント欄を見るという方法です。
「自分と同じ(違う)意見が多いな」「確かにこの考えもありだな」と客観的に見ることで、自分の考えを深めたり、考えの軸に気づいたりすることができました。
このときも、多数の意見が正しいという感覚は捨てて、あくまで自分がどう思ったか、他にどう思っている人がいるかということを見ています。
反対意見の人に対して、自分の意見をどう伝えたらわかってもらえるか、ということを考えたりもしていました。
お手本にしたくなる伝え方をしている人もたくさん見かけますし、実際に人と話すよりも短い時間で手軽に練習できて、密かにおすすめしたい方法です。
いろいろな手段を知るために、本を読むことも有効です。この本は、自分で物事を決めるときに大切なことが書かれていますよ。
違いや間違いを恐れない
自分の意見が否定されることを恐れて意見が言えない人は、「人と意見が違うことは何も悪いことではない」と言い聞かせてみてください。
会議では、多数の人が思っていることよりも、少数意見が重要になることが多くあります。
あなたが出した意見が採用されなくても、それはそれでよいのです。すべての意見が採用されることなんてないのですから、それが当たり前です。
大事なのは、結論に至るまでに、お互いの意見を出し合って問題点や改善点を探っていくことですよね。
少数意見を出した結果、あなたを否定する人が出てきたとしたら、それは相手の問題だと思って割り切ることも必要です。
もしあなたの考えが間違っていたとしても、決してあなた自身を否定していいことにはなりません。
どうしてもつらい記憶がよみがえってしまうなら、一人で抱えず、心療内科やカウンセラーなど専門機関に相談してみてください。
わからないと伝えてもよい
興味がないことや、経験がないことを聞かれて、何か答えなきゃとドキドキしたことはありませんか?
興味や経験のないことでも、今から実際に自分がそれをすることを具体的にイメージしてみましょう。
事前に何を話すかがわかっていれば、下調べをしたり、詳しい人に聞いたりして準備しておくこともできますね。
「自分ならこうするかな」「ここはどうしたらいいんだろう?」「なぜこのやり方なんだろう?」と浮かんできた思いや疑問があなたの意見です。
なにも浮かばないときは、正直に「わからない」と答えるものひとつの方法です。
「そのことについてはわからないな、ごめんね」「私には経験がないので、考えてみてもピンと来ません。経験のある方の意見をお聞きしたいです」と言われて嫌な気分になるでしょうか。
なにも答えないよりは、「わからない」と発言することで、あなたの思っていることが伝わりますね。
人の意見も肯定的に聴く
自分の意見を言おうと意気込みすぎて、人の意見に耳を傾けることを忘れていると、せっかく意見を言ってもズレた内容になってしまいます。
人の意見をよく聴いて、その意見がたとえ自分と違っていても、「なるほどそういう考えもあるね」と肯定的に受け止める癖をつけてみましょう。
「あなたの意見を否定するつもりはないけれど、ひとつの意見として私はこう思っている」という伝え方ができると、円滑なコミュニケーションに発展します。
相手が友達なら「私はこう思ったけど、それもありだね!」、会議なら「〇〇さんの意見は新しい視点ですね!私はこんなやり方もあると思いました。」などです。
人の意見を肯定的に捉えられるようになるにつれて、あなた自身の意見も肯定的に受け止められるようになっていくはずです。
まとめ
今すぐできそうなことはありましたか?
もし、親のせいで自分の意見が言えなくなっていても、自分の力で乗り越えることができます。
お子さんが「親(自分)のせいで意見が言えなくなっているのではないか?」と思うあなたも、今からでも遅くありません。
あなたのペースで、できることから少しずつはじめてみましょう。