イヤイヤ期は、お子さんの自我が芽生える時期で、しっかり自我が芽生えれば必ず終わりがやってきます!!
とは言え、なにをしても「イヤ!」と返ってくる、今日もイヤイヤでごはんを食べてくれなかった…、一体終わりはいつくるんだろう?
そんな思いをしているあなたに、保育士として100人以上の乳児さんと関わってきた私が、イヤイヤ期の終わりの兆候をご紹介します。
100人以上の子どもたちのイヤイヤの出方はそれぞれ違っていましたが、1歳半ばごろに始まり、2歳~3歳頃に落ち着いていくことが多かったです。
もちろんもっと長い子も短い子もいましたが、長いからダメ、短いからダメ、ということはありません!
気になるイヤイヤの原因や、イヤイヤ期の子どもに試してほしい関わりについてお伝えします。
イヤイヤ期の終わりの兆候3選!突然くるもの?
イヤイヤ期の終わりは突然来る子もいれば、徐々に終わっていく子もいます。
突然来ると言っても、おもてに現れるのが突然というだけで、本人の心の中では徐々に変化が見られています。
長男はあまりイヤイヤを言わず、次男は1歳半~3歳前ごろまで教科書通り(床にひっくり返るやつ…)のイヤイヤ期がやってきました。
同じ親が育てても、イヤイヤ期の訪れや終わりは子どもによって違います。
周りのお子さんと比べて、あの子はもう終わっているのに…と焦る必要はありません!
では、まずイヤイヤ期が終わっていくときどのような兆候が見られるのかを見ていきましょう。
言葉が増える
単語が30語くらいに増え、言葉で要求しようとする姿が見られます。
今まで言葉にならず泣いて伝えていたことを少しずつ「〇〇したい」と伝えられるようになるのが、イヤイヤ期の終わりの兆候と言えます。
見通しがもてるようになる
今この瞬間しか見えていなかった子も、「これをしたら次はこれ」という見通しをもつことができるようになります。
大人のような見通しではなく、毎日の繰り返しの中から得られる見通しなので、その見通しがいつもと違うときには混乱することもあるでしょう。
しかし、この段階を経てイヤイヤ期は終わりに近づいていきます。
「〇〇ではない〇〇だ」を獲得する
この時期は、「~デハナイ~ダ」という活動スタイル(1次元可逆性)を獲得し、行くーもどる、入れるーこぼすなど同じ種類の活動の切り替えができるようになります。
発達がわかれば子どもが見える 監修田中真介 編著乳幼児保育研究会
イヤイヤと泣いていても、気持ちを切り替えて元に戻すことができはじめます。
この切り替えの力が1次元可逆性と言われていますよ。
例えば、
- 滑り台をすべるのに、階段から上って足を下にして滑ることがわかる
- 寝るとき布団に頭から突っ込んでいたのが、足から入るようになる
といった変化も一次元可逆性の獲得へと繋がっています。
以上のような姿が見られ出したら、イヤイヤ期の終わりの兆候が見えていますよ♪
この本は、保育士さん向けですが、0歳から就学までのそれぞれの時期の子どもの発達段階や、どんな関わりをするとよいかといった内容がわかりやすく書かれています。
次元の発達について少し難しい内容だと思い、こちらの記事に詳しくまとめました。
イヤイヤ期の終わりが見えない!かんしゃくを起こす原因を知ろう
それでもイヤイヤ期まっただ中で終わりが見えないのは、とても大変ですよね。
ここでは、モンテッソーリ教育とリトミックを専門とする先生から、イヤイヤが発動するには2つの理由があることを教わったので、ご紹介します。
1.自分の中の秩序が乱れたとき
秩序とは、決まったルーティーンや「これをしたら次はこれ」という自分の中の決まりのようなことです。
秩序が乱れる場面は、例えば以下のようなときを指します。
- いつもはスーパーでお菓子を買ってもらえるのに、今日は買ってもらえないといったイレギュラーな場面
- まだ遊ぼうと思っているのに、別のことをしなければならないとき
特に意識せずにお菓子を買ってあげているだけでも、子どもの中では「ここに来たらお菓子を買ってもらえる」とインプットされていることがあります。
お菓子が買ってもらえなくて泣いているのは、ただのわがままではなく「ここに来たらお菓子を買ってもらえる」という自分の秩序が崩壊してパニックを起こしている可能性がありますよ。
「スーパー=お菓子を買ってもらえるところ」ではなく「スーパー=家に足りない食べ物を買うところ」で、「お菓子が足りないときは買うけれど、足りるときは買わない」ということをわかってもらう必要がありますよね。
子どもなりに考えているんだね。
だからこそ、なかなか伝わらないよね…涙。
2.自分でやりたいことができなかったとき
自分でできることが少しずつ増えてきてうれしい反面、時間がかかってしまいます。
つい大人がやってしまうと、「自分でやりたかった!」と怒り出してしまうことも多々…。
時間に余裕があるときはじっくり自分でやらせてあげたいところですね。
余裕ない時ほど自分でやりたいってなるよね…
気を引きたいときもある
忙しいときに限ってイヤイヤを連発することもありますよね。
それは、子どもなりの「私を、僕を見て!」というメッセージかもしれません。
人間の心理では、「よい反応」「悪い反応」「無反応」の中で最も嫌な反応は、実は「無反応」なんです。
よいことをしてもあまり反応してもらえない場合、悪いことをして反応を得ようとするのが子どもの本能と言えます。
- 一人で遊んで賢くしているときは、ママは家事に専念している
- 怒ったり泣いたりしたらママが来てくれる
このような生活が続くと、ママの気を引きたいときに怒ったり泣いたりするようになります。
これを避けるためには、いつでもママは来てくれることを実感できるようなかかわりや、悪いことや泣いたり怒ったりしても過剰に反応しないことがポイントです。
イヤイヤ期の終わりが見えないときに実践してみてほしいこと
なかなか終わりが見えないイヤイヤ期、もう色んな手を尽くされていることと思います。
そんなあなたの力になれることがあれば…!という思いから、私がたくさんの乳児さんと向き合ってきた方法6つをお伝えします。
自分で選ぶ機会を増やす
服を着るとき、食べるとき、お出掛けするとき、選択肢を用意します♪はじめは2択がいいです。
例えば服を着るときは、2着の服を見せて「これにする?それともこっちにする?」と聞いてみると自分で選んで、すんなり着てくれることも。
自分で選んだことを周りの大人に尊重してもらえると、自我の芽生えに自信がついていきます♪
お出掛けするときは、「どの靴でいく?」「どのおもちゃ持って行く?」とやりとりすると「イヤイヤ」と言っていても気持ちが切り替わるかもしれません。
かわいいカバンがあるとさらにやる気満々に♪賛否両論ありますが、ハーネスの紐がついたリュックもたくさん販売されています。
手を繋ぐのがイヤイヤで、どうしても一人で歩きたがるお子さんの安全を確保するためにはアリだと思います。
ご飯は嫌がらずに食べていますか?
保育士をしていて、食べるときのイヤイヤが1番難しく感じました。私が実践していた言葉かけをご紹介しますね。
できないことを逆算して援助する
まずは自分で着脱しやすい衣服や靴下、靴を選ぶことがポイントです♪
次に、自分でしたいけれど、うまくできなくて時間がかかるときには、まず様子を見ます。
そして、できないところを途中まで手伝って最後の仕上げを自分でできるようにすることがおすすめです。
難しいところをピンポイントでさりげなく手伝うと案外イヤイヤにならないことが多かったです。
例えば靴下なら、つま先を合わせて半分まで手伝ってあとは任せます。最後ができると満足感は高まりますよ♪
中には「手伝ってくれるな!自分でやるから!」というお子さんも…これ、あるあるですよね。
その場合はなるべく時間に余裕をもって早めに準備して、本人に任せてあげられるのがベストです。
大人は他の準備などをしながら横目で見て、お子さんが「できないな…」と思ってくるころに、さりげなく先ほどのように手伝い、できるところは自分でできるようにします。
時間があるときには向かい合って声をかけながら、手伝うところを減らしていきましょう。
自分でできるけれど、お子さんが「やってほしい」というときには快くやってあげましょう♪
大人と同じように子どもにも疲れているときや、甘えたいときがありますよね。
善し悪しの線引きをしておく
何でも要求を通すことは違うとお伝えしましたが、この線引きは難しいですよね。
子どもの主張、どこまで許す?
この線引きを決めていないと、お子さんも混乱してしまうかもしれません。
イヤイヤ期の子はまだ幼いけれど、物事をよく見ています。
どこまで許してくれるだろう?と「イヤイヤ」と言いつつ様子を見ている子もいますよ。
また、昨日はOKだったのに、今日はNGとなると子どもなりにも何が正解かがわからなくなってしまいますよね。
なんとなくでいいので、「NGなこと」「OKなこと」「様子を見ること」を決めておき一貫した対応を意識することをおすすめします。
そうすることで、子どもも「このときはこうだな」「誰に言ってもダメなんだな」と理解していきますし、大人も「どうしよう…」と迷うことが減りますよ♪
それでも、いつもはOKだけど今はNGという場面も現実には出てきますよね。
そのときには正直に「いつもはいいんだけど、今は〇〇だから我慢してほしいよ」となるべく早めに説明してあげてください。
我慢ができたら「ありがとう」「〇〇ができて助かったよ」と気持ちを素直に伝えましょう。
ルーティーンを意識する
イヤイヤ期にかんしゃくを起こす理由に、自分の秩序が乱れたときとお伝えしました。
子どもなりの秩序を築いている証拠で、すごい成長を遂げようとしているのです。
そのため、毎日全く同じ動きをする必要はありませんが、「朝ご飯を食べたら着替えをする」「着替えができたらおもちゃで遊ぶ」など大まかなリズムを決めておくと見通しが持ちやすくなりますよ♪
急な予定変更や、いつもと違う行動をすることも出てきますが、まずは平時のリズムができるといいなと思います。
保育園では、「外から帰ると手を洗って椅子に座る」ということを繰り返していると、何も伝えなくても外から帰ると手を洗って椅子に座っている1歳児さんの姿がたくさん見られます♪
同じことを育児休暇中、息子に実践しましたが、手を洗うところまではできても、あとはリビングで遊んでましたね…。
手が洗えたからいいか。手を洗うのを嫌がったら、無事帰ってこれたからいいか。とゆるく育てていました。
命にかかわることや人の迷惑になること以外はゆるくてもいいんじゃないかな~と個人的には思います。
「しないでほしいこと」より「してほしいこと」を伝える
「〇〇してはダメ」「〇〇はしません」と伝える必要がある場面もありますが、そればかりだと子どもは禁止されてばかりでしょんぼり…。
しょんぼりするだけでなく、しないでほしいことを伝えるだけだと、今何をすればいいのかがわからなくて不十分なことがあります。
「走りません」⇒「走っちゃダメなんだ、で?どうすれば?」という状態です。
子どもには「走りません」よりも「歩こうね」と今してほしい行動を端的に伝えた方が伝わりやすい傾向にありますよ♪
他に言い換えられそうな言葉を簡単にまとめているので、参考にしてみてくださいね。
落ち着いてからお話しする
イヤイヤが発動しているときは、何を言ってもダメなことが多いですよね。
時間が許すなら、安全な場所で落ち着くのを待ちましょう。
落ち着いたら、まずは「自分で泣き止んだね」と認めてあげてください。
時間がかかっても、自分で気持ちを切り替えられた!という成功体験を積み重ねたいところです。
そして、落ち着いてから「これがしたかったんだよね、でも〇〇だからね」というように、「〇〇デハナイ〇〇ダ」という現象を言葉で説明します。
これを繰り返していくと、子ども自身の口から「〇〇したかった」という言葉が出てくるようになり、さらに進むと「でもできないね」といった言葉も出てくるようになるんです♪
しかし、公共の場などで、物でつってでもなんとか収めないとどうしようもないこともありますよね。
その場合も、おうちに帰って落ち着いてから、「さっきは〇〇したかったんだよね、でも〇〇のときはできないよ」としっかり説明してあげてください。
はじめは理解できないかもしれませんが、この子ならきっといつかわかってくれる!と根拠のない自信をもちましょう!!
まとめ
- イヤイヤ期の終わりの兆候は、「言葉が増える」「見通しがもてるようになってくる」「〇〇ではない〇〇だの獲得」の3つ
- イヤイヤ期にかんしゃくを起こす原因は「自分の中の秩序が乱れたとき」と「自分でしたいことができないとき」の2つ
- イヤイヤを言って大人の気を引こうとしていることもある
- イヤイヤ期に試してほしいことは「選択肢の提示」「できないところだけ援助」「善し悪しの線引き」「ルーティーンを意識」「してほしいことを伝える」「落ち着いてからお話し」の6つ
イヤイヤ期には終わりの兆候が必ず来ます。そのためにも「自我の芽生えを支える」という視点をもってお子さんに関わってみてくださいね♪
わかっていても、理想的な関わりは心に余裕がないとなかなかできませんよね。
完璧である必要はありません。私もワンオペ育児で、仕事以外では「ママも疲れた~」とダラダラしている日が(結構)ありました。
疲れ果ててもう限界…というあなたは、まずあなたの疲れを癒やすことを考えてみてください。
家族に頼れない状況なら、お住まいの役所に行けば一時保育や、私の住む市では家事を助けてくれるサービスがありますよ。
同じ子育てをする仲間として、一緒に前に進んで行きましょう♪