嫌いな食べ物を克服するには、好き嫌いの理由を知って、無理なく食べられるように取り組んで行きましょう。
子どもが「野菜を食べない」「偏食で心配」「食事が戦いになる」と困ってる方は多いと思います。
嫌いな食べ物を克服するメリットは、バランス良く栄養が摂れることですが、他の方法で栄養が摂れていればあせる必要はありません。
だからといって、嫌いな食べ物を出さずに過ごすと、ずっと食べられないままになってしまいます。
この記事では、保育士&母として、子どもたちと接してきた経験と、勉強してきた内容から、嫌いな食べ物を克服する方法や好き嫌いの理由をお伝えします。
何をやってもダメだという方は、最後の章を読んでみてくださいね。
もくじ
嫌いな食べ物を克服する方法5選!

1.調理方法を工夫する
嫌いな食べ物は、小さく刻んだり、好きな食べ物と組み合わせたりして目立たないように調理するのがおすすめです。
- ピーマンやにんじんをみじん切りにしてハンバーグ
- ほうれん草や玉ねぎをペーストにしてポタージュスープ
- 野菜を果物と一緒にスムージー、など
「これなら食べられる!」が、克服へとつながります。
2.旬の食材を選ぶ
同じ食材でも、旬のおいしい時期に食べることで、イメージが変わることがあります。
果物でも酸っぱいものと甘いものがあり、野菜や魚も旬のものは他の季節のものと比べておいしいですよね!
例えば、最初に食べたみかんが酸っぱいと、「みかん=酸っぱい=嫌い」とインプットされているかもしれませんので、1番おいしいと思える状態のものを試してみてください。
3.少しずつ口に入れる
食べず嫌いを克服するには、1回でたくさん食べる必要はなく、少量を10回〜20回と繰り返していくことが有効だと言われています。
少量を口に入れて飲み込まなくてもOK、ひとくちだけ食べられたらOKと、スモールステップで無理なく口にする機会をもってみましょう。
年齢の小さいお子さんはとくに、これから食べられるものが増えていきますよ。
ただし、嫌がっているのに口に入れると逆効果になる可能性があるので、無理のない範囲にしておきましょう。
4.楽しい雰囲気で食べる
嫌いな食べ物は何も言わずに添えておき、食事と関係のない話をしながら自分で食べるのを待ったり、そっと口に運んだりしてみることをおすすめします。
嫌いなものを食べさせようとすると、つい肩に力が入ってしまいますが、子どもにとって「食事=嫌なこと」になってしまうと大変です。
怒られなくても、毎回のように食べたくないものを「食べられる?おいしいよ!」と勧められるのも、繊細な子どもにとってはつらく感じてしまいます。
食べにくいときには残してもよいことを伝え、「これだけ(スプーンに少し)食べてデザートにしよう」と提案すると、わりと食べてくれることが多いです。
嫌いだったものを克服できた!という経験が、他のものも食べてみようという意欲につながります。
何をしても嫌がるときは「わかったよ」と食べたくない気持ちを受け止め、少しでも食べられたときにはたくさん褒めてあげましょう♪
5.空腹のときに食べる
大人にも言えることですが、そもそもお腹が空いていないと、苦手なものまで食べようと思いませんよね。
おやつを食べすぎていた、前の食事から時間が近かった、運動していないなど、お腹が空いていないかもしれないときには難しいと考えましょう。
嫌いな食べ物を克服するには理由を知ろう!

嫌いな食べ物を克服するには、なぜその食べ物が嫌いなのかという理由を知ることが大切です。
促せば食べられるか、どうしても食べられないか、少しずつ慣れていけそうかなど、子どもの様子に合わせて対応していきたいですね。
理由を無視して無理に克服しようとすると、その食べ物がもっと嫌いになるばかりか、食事そのものが嫌になってしまいかねません。
好き嫌いの理由には、生まれもった「遺伝的要素」と、経験からくる「環境的要素」の2つのケースがあります。
これから、好き嫌いという現象が起こる理由を、研究結果をもとに解説していきますね。
遺伝的要素
人間が感じる味は「甘味」「酸味」「苦味」「塩味」「うま味」から構成され、本能的に食べやすい味と、食べにくい味があります。
食べやすい:甘味・塩味・うま味
「栄養になる成分」と認識され、生まれつき好きと感じる味だと考えられています。
疲れたときに甘味が欲しくなり、汗をかくと塩味が欲しくなりますよね。
うま味は、アミノ酸の味で、タンパク質(人の身体)をつくる上で欠かせない成分です。
食べにくい:酸味・苦味
酸味・苦味は「有害な成分」として認識され、生まれつき苦手な味だと考えられています。
酸味や苦味を嫌いと感じることは、腐った食べ物や毒を避けるための本能なのです。
あなたが、苦味のある野菜を食べられるようになったきっかけは何でしょうか?
「食べると身体に良いことがわかった」「よく噛んだら甘味があることを知った」など、後の経験によって塗り替えられることがわかります。

毒と思っているのに、急にたくさん食べられないよね。
少しずつ慣れていけるといいね♪
環境的要素
特定の食べ物について、嫌な記憶が刻まれることによって、その食べ物を嫌いになってしまうケースです。
「無理矢理食べさせられた」「食べたら体調を崩した」など、個人的に起こった嫌な経験が理由となります。
友達が「まずい」と言ったり、大人が「あなたはこれが苦手」と言ったりするのを聞いて、「自分はこれが苦手なんだ」と思い込むこともありますよ。
反対に、「嫌いだったけれど、あるとき食べてみたらおいしかった!」という経験はありませんか?
嫌だった記憶はずっと続くわけではなく、その後の経験によって変化すると言われていますよ!
嫌いな食べ物に対して過剰反応せず、食べられたことやマナーを守れたことなど、よいことに注目するのがおすすめです♪

嫌いな食べ物を投げるなど、態度がひどいと感じるときは、ダメと伝えることも大事だよ。
嫌いな食べ物を克服できないときは無理しないで

なかなか嫌いな食べ物を克服できない場合は、感覚が過敏で気持ち悪さや怖さを感じている可能性がありますよ。
とくに発達障害のあるお子さんに多いですが、その限りではありません。
感覚の過敏は、わがままではないので、無理強いしないことが大切です。
家や学校でわがままとみなされて、つらい思いをしている子どもが多いと言われています。
必要に応じて、保育園や幼稚園、学校の先生と連絡を取り合っておくとよいですね。
感覚の過敏は、成長と共に改善されることがあります。
なかなか克服できないなら、「今はまだその段階にない」と長期的な目で見て、他のもので栄養を補うことを考えてみましょう。

絶対に食べないといけないことはないよ。
最後に、感覚過敏で食べ物が嫌いになる理由と、克服するために支援センターなどで実際に行われている対策をお伝えしますね。
視覚が過敏
見た目のインパクトが強く目に飛び込んできます。
例
- イチゴのブツブツが気持ち悪い
- カリフラワーの白が食べ物に見えない
- 「白いもの=おいしい」「緑のもの=まずい」などと決めつけている
- たこの吸盤が怖い など
対策
- 原因になる見た目をなくす(小さく切る、すりつぶすなど)
- 絵本や絵カードなどを見て慣れる
味覚・嗅覚が過敏
味覚や嗅覚が敏感で、食べられるものが少なくなります。
知らない味や、特定の味に対して不安を感じるため、自分の中で安全と思うものしか食べないというパターンもありますよ。
例
- 辛い味を痛いと感じる
- いつもの味付けと違うと食べられない
- 苦味や酸味を感じやすい
- 味付けが濃く感じる(逆は感覚鈍磨【どんま】で味を感じにくい)など
対策
- 食べられる味つけを探る
- 怒られない、無理強いされない安心できる環境
- 給食が食べられないならお弁当を持参する
- 他のもので栄養を補足する
私も幼い頃に、ごま豆腐を見て「豆腐なのにこの色は何?」と思い、食べたら「コンクリートみたい」とはき出してしまいました。
ごま豆腐(コンクリート)を毎日食べないといけなかったら地獄だったと思いますが、そんなこともなく、今では「ゴマと豆腐の味」と認識できています。
触覚・聴覚が過敏
特定の食感や、口の中の咀しゃく音が苦手です。
例
- 揚げ物の衣が口に刺さって痛く感じる
- 口の中でざくざく言う音がとてもうるさく感じる
- キノコや豆などツルツルしたものがプラスチックのように感じる
- 梨のじゃりじゃりが砂のように感じる など
対策
- 苦手な食感を避ける(ツルツルが苦手なら素揚げにするなど)

どの場合も食べて害はないこと、無理して食べなくてもよいことを伝え、まずは安心させてあげよう♪
まとめ

- 嫌いな食べ物を克服する方法は、「調理方法を工夫する」「旬の食材を選ぶ」「少しずつ口に入れる」「楽しい雰囲気で」「空腹のときに」の5つ
- 嫌いな食べ物の理由は、酸味と苦味を毒と見なして嫌いと感じる「遺伝的要素」と、つらい経験から嫌いと感じる「環境的要素」がある
- 嫌いな食べ物を克服できない理由に、感覚過敏があるが、過敏になっていることを避けて無理なく食べられるよう工夫する
- どうしても食べられないときは、他のもので栄養を補う
- なぜ嫌いなのかを知り、食べても害はないこと、無理に食べなくてもよいことを伝え、安心して楽しく食べることが大事
感覚過敏とわがままとの見分け方が難しいという方もいらっしゃるかと思いますが、楽しい雰囲気の中で少しずつという方法は同じです。
やりとりをしながら、嫌いな理由を知ったり、座って食べる、途中で遊ばないなど、年齢に合ったマナーを伝えたりしながら進めていけるとよいですね。
大人の方も「今日はいいや~」という日があってもよいと思います♪頑張りすぎないでくださいね。